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【2025年最新】医療機関が知っておくべきセキュリティ対策について徹底解説

  • 執筆者の写真: シースリーレーヴ編集者
    シースリーレーヴ編集者
  • 1月16日
  • 読了時間: 13分

近年、医療機関を狙ったサイバー攻撃が急増しています。電子カルテの改ざんやランサムウェアによるシステム停止など、医療現場に甚大な影響を与えるケースが後を絶ちません。厚生労働省はこうした状況を受け、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン5.1版」や「サイバーセキュリティ対策チェックリスト(経営層向け・システム管理者向け・医療従事者向け)」を公表し、医療機関が取り組むべきセキュリティ対策の重要性を強く訴えています。


本記事では、「医療用のセキュリティテスト」にフォーカスし、そもそもセキュリティテストとは何か、どのように導入し、どのような手順で実施すべきかを解説します。また、厚生労働省が公表している医療用のセキュリティチェックリストとの併用方法や、医療業界特有のリスクを踏まえた運用のポイントについても詳しくご紹介します。


目次


2. 医療業界を狙うサイバー攻撃の最新動向

セキュリティ動向

2.1 個人情報流出やランサムウェア被害が増加する背景

医療機関では、患者の氏名・住所・診療記録といった重要な個人情報を多量に扱っています。こうした情報は闇市場で高値がつくため、攻撃者にとって大変魅力的な標的です。特に近年はランサムウェア攻撃が増加し、医療システムが暗号化されると診療業務が滞り、経営面だけでなく患者ケアにも大きな支障を来すことがわかっています。こうした切迫した状況から、医療業界ではセキュリティ対策の見直しが急務となっています。


2.2 攻撃の対象が拡大する医療機器やIoTシステムの脆弱性

また医療機関内では、電子カルテや予約システムだけでなく、ネットワークを介した医療機器やIoTデバイスが急速に増えています。遠隔モニタリングやウェアラブル端末など、利便性が高まる一方で、OSやファームウェアのアップデートが行き届かず、脆弱性が放置されがちです。こうした脆弱性を突かれると、外部から医療機器を操作される可能性もあり、患者の安全を脅かす事態になりかねません。


3. 厚生労働省の最新セキュリティガイドライン・法規制対応のポイント

セキュリティ対応ポイント

厚生労働省が公表している「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(5.1版)」は、医療現場が取り組むべきセキュリティ対策を体系的に示したものです。電子処方箋やオンライン診療の普及に伴い、医療機関に求められるセキュリティ管理はより複雑かつ厳格になっています。また、個人情報保護法やマイナンバー法などの国内法に加えて、海外規制にも対応する必要がある場合は、常に最新の情報をチェックしなくてはなりません。


厚生労働省が出している医療機関における

サイバーセキュリティ対策チェックリストは以下から確認できます。


3.2 医療情報ガイドラインとプライバシーマークの要点

ガイドライン5.1版では、電子カルテシステムやネットワーク機器の管理方法、アクセス権限の設定、インシデント発生時の対応といった具体的な取り組みが列挙されています。これらを遵守することは、外部監査やプライバシーマーク(Pマーク)の取得時にも有利に働くでしょう。プライバシーマークを取得している医療機関は、個人情報保護を重視しているという姿勢を対外的に示せるため、患者からの信頼向上にもつながります。


3.3 海外規制(GDPRなど)に留意すべきケース

海外との共同研究や、国外の患者データを扱う機会がある医療機関では、GDPR(EU一般データ保護規則)をはじめとした海外法規の内容も把握しておくことが大切です。データの保存期間や同意取得の方法など、日本国内の基準と異なる点があり、違反すると多額の制裁金が科されるリスクもあります。今後は医療の国際連携がさらに進むことが見込まれるため、早めの段階から海外規制への理解を深めておく必要があります。



4. 医療用のセキュリティテストとは?基礎知識を押さえよう

医療用のセキュリティテストには主にペネトレーションテストと脆弱性診断の2種類の診断方法があります。以下にてペネトレーションテストと脆弱性診断のメリットや使い分けについて解説します。


4.1 ペネトレーションテスト(侵入テスト)の概要とメリット

ペネトレーションテストとは、攻撃者の視点で医療システムに侵入を試み、その過程で見つかる脆弱性を調べる手法です。実際の攻撃手口を模擬することで、想定外の抜け穴を洗い出せる点が最大のメリットといえます。ただし、診療に利用しているシステムをテストする場合は、実施タイミングや範囲を慎重に検討しないと、業務に支障を来す恐れがある点に留意が必要です。


4.2 脆弱性診断(ホワイトボックス/ブラックボックス)の使い分け

脆弱性診断には、システム内部の情報を把握した状態で行うホワイトボックス診断と、外部から何も情報を得ずに行うブラックボックス診断があります。医療機関では、電子カルテなどの基幹システムを詳細に調べたい場合はホワイトボックス、実際の攻撃をシミュレートして外部から侵入経路を探りたい場合はブラックボックスと、目的に応じて手法を使い分けることが重要です。


4.3 ソーシャルエンジニアリングテストが医療現場で重要な理由

医療現場では、不審メールや電話を通じてパスワードや機密情報を聞き出そうとする“ソーシャルエンジニアリング攻撃”がしばしば起こります。こうした手口はシステムの安全性だけでなく、人為的なミスや不注意を狙うため、職員教育が欠かせません。ソーシャルエンジニアリングテストでは、フィッシングメールへの対応や情報のやり取りにおける意識を測定できるため、対策の優先度を見極める上でも有益です。


5. 医療機関が抱える代表的なセキュリティリスク

セキュリティリスク

医療機関が特に狙われるセキュリティリスクについて解説します。


5.1 電子カルテシステム・医療情報システムの脆弱性

電子カルテや遠隔モニタリングシステムが停止すると、診療自体に大きな混乱をもたらします。OSのサポートが切れたままのサーバや、昔のバージョンを使い続けているソフトウェアなど、対策が遅れるほど脆弱性は深刻化します。小さなトラブルでも医療現場では致命的な影響を与えかねないため、計画的な更新と保守が求められます。


5.2 老朽化したサーバ・ネットワーク機器への対応

医療機関では、システムを長期間使い続ける傾向があります。サーバやネットワーク機器が老朽化し、メーカーのサポートが終了している状態を放置すると、セキュリティパッチの適用が行われず、外部からの攻撃を受けやすくなります。機器のリプレースにはコストがかかりますが、無計画な運用は最終的に大きな損失となるリスクが高いので、経営層を含めた合意形成が必要です。


5.3 職員のセキュリティ教育不足によるインシデント

医療現場では多職種の職員が混在し、セキュリティへの意識や知識に差があるケースが少なくありません。添付ファイルの開封やUSBメモリの使用など、日常の何気ない行為から重大なインシデントへ発展する恐れがあります。従事者向けのチェックリストや定期的な研修を通じて、教育を継続して行うことが非常に重要です。


6. 医療機関がセキュリティテストを行うメリット

医療機関メリット

6.1 患者情報の保護と病院の信頼向上

サイバー攻撃による情報漏洩が起これば、患者や地域社会からの信頼は一気に失われます。セキュリティテストで潜在的なリスクを発見・対策することは、単にシステムを守るだけでなく、医療機関としての社会的信用を維持する上でも欠かせません。しっかりと対策を実施している姿勢を示すことで、リスク管理の取り組みに積極的な医療機関として評価されるようになります。


6.2 セキュリティインシデント発生時の損害・リスク低減

万が一攻撃を受けた場合でも、テストを通じてインシデント対応マニュアルや復旧手順が整備されていれば、被害を最小限に抑えられます。ランサムウェアによりシステムが暗号化されても、迅速な初動と適切なリカバリ手段を備えていれば診療停止期間を短縮できる可能性があります。事前準備の有無が、経営への打撃を大きく左右するのがセキュリティ対策の現実です。


6.3 法的リスクへの備えとコンプライアンス強化

医療機関は個人情報保護法やマイナンバー法のほか、各種ガイドラインに準拠して運用する責務があります。セキュリティテストを導入することで、法令順守の実効性を高められ、監査や報告義務にも対応しやすくなります。また、マニュアル整備や教育体制が確立されていると、何らかのインシデントが起きた際にも組織としての説明責任を果たしやすくなるでしょう。


7. セキュリティテストの進め方:具体的ステップと注意点

セキュリティテストステップと注意点

7.1 現状分析と目的設定:適切なスコープと優先順位を決める

まず、院内にあるシステムや機器を洗い出し、どこにどのようなリスクが潜んでいるかを把握することが出発点です。電子カルテや予約システムなど、患者情報を直接扱う部分から優先的にテストを実施し、経営層との合意形成を得ながら予算や人員を確保していくのが一般的な流れです。


7.2 テスト実施前の体制づくり:院内担当者・外部ベンダーの役割分担

セキュリティテストには専門的なスキルが必要なため、外部ベンダーを活用する医療機関も少なくありません。その際、院内のシステム担当者はネットワーク構成やシステム仕様を整理し、テスト期間や診療への影響を最低限に抑えるための準備を行います。外部委託の場合でも、最終的な責任は医療機関が負うため、検出された脆弱性の対処方針を明確に決定することが大切です。


7.3 テスト結果の評価と対策立案:レポートをどう活かすか

テスト後には脆弱性の発見点や想定される攻撃経路、推奨される対策などをまとめたレポートが提出されます。ここで重要なのは、指摘された項目のうち特に深刻度の高い問題から優先して対策を打つことです。経営層には、リスクをそのまま放置した場合の被害コストや、対策にかかる費用対効果を提示し、早期に改修へ踏み切るための判断材料を提供するとよいでしょう。


7.4 改善策実施後の継続的モニタリングが必須

セキュリティは一度テストして終わりではありません。システムの更新や運用の変更があるたびに新たな脆弱性が生まれる可能性があります。定期的な脆弱性診断やログ監査を行い、常に安全性を保つ取り組みを続ける必要があります。院内全体でセキュリティ意識を高め、「予防・発見・対処(是正)」のサイクルを確立しておくことが求められます。



8. セキュリティテストの費用対効果を最大化する方法

セキュリティリスク費用対効果

8.1 予算策定のポイント:コスト配分と優先順位

医療機関には数多くのシステムや機器があるため、すべてを同時にテストするには高額な費用が必要です。まずは電子カルテなど最も被害が大きい領域や、既に老朽化しているサーバなど、優先順位を付けて段階的にテストを行うのが現実的です。経営層に対しては、インシデントが発生した場合の損失と、テストや対策にかかるコストを比較し、対策がいかに投資効果をもたらすかを示すことが説得力を高めるポイントです。


8.2 無駄を省くツール・サービス選定術

セキュリティテストを行うためのツールやサービスには、ペネトレーションテストのほかにも脆弱性診断ツール、WAF(Web Application Firewall)、IDS/IPSなど多岐にわたるものがあります。ただし、医療機関の規模や運用体制に合わせて無理に過大なサービスを導入すると、費用負担ばかりが増えてしまう懸念があります。ベンダーの提案内容をよく比較し、自院の実情に即した最適な組み合わせを選ぶことが重要です。


8.3 ROIを高めるための継続的PDCAサイクル

セキュリティテストは一度実施して終わりではなく、継続的に行い、結果を踏まえた対策を実施し、再度テストを行うというPDCAサイクルを回すことで初めて効果を発揮します。攻撃手口も日々進化するため、最新の知見を取り込みながら運用を見直す姿勢が欠かせません。インシデントが起きる前に対策を打てるほど、最終的なコストメリットは大きくなるものです。


まとめ

医療機関には多様なシステムや機器が存在し、その安全性を守らなければならない対象も広範囲にわたります。サイバー攻撃は日々進化を続け、医療現場が受ける被害は患者情報の漏洩だけでなく、診療体制の停止や信頼の失墜といった甚大なリスクを伴います。こうした脅威に対抗するうえで、定期的なセキュリティテストは大きな役割を果たします。

特に、厚生労働省が示すガイドラインに沿いながら「予防・発見・対処(是正)」のPDCAサイクルを回し、経営層・システム管理者・医療従事者それぞれが自覚をもって取り組むことが重要です。テストや教育を通じてインシデント対応力を高めていけば、万が一の場合にも被害を最小限に抑えられます。医療現場で働く全員がセキュリティに関心を持ち、対策を続けることで、患者と地域社会からの信頼を揺るぎないものにしていきましょう。


セキュリティ診断ならシースリーレーヴ 

シースリーレーヴ株式会社

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弊社では、海外で活躍するホワイトハッカー集団「Nulit・ナルト」によるペネトレーションテストを60万円〜の低価格で提供可能です。


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また自社でのセキュリティ対策が難しい場合は、ホワイトハッカーおよびエンジニアが開発を行うことも可能です。


これまでに大手企業様や、上場企業様など、数多くのペネトレーションテスト実績を持っております。

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